読書

ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊』

…というわけで、長々と、そーれーはもう! 長々と書き連ねてきたグリーンランドの物語ですが…。

すべてはこの本に詰まっております。『文明崩壊』。タイトルがもう、ずどんと来ますですね、胸の真ん中にですね。カバーがバベルの塔だよ! 上下各巻それぞれ約550ページ、その中においてヴァイキングとグリーンランド(アイスランドの歴史も含む)について、著者は1エピソードとしては最大の200ページもの分量を割いています。それをムリクリ、端折って端折ってぐるんぐるんに丸めちゃったのが私の文章です、ハイ☆

でも本当に、このグリーンランド入植地の填末を読んだ時、しんしんと雪の降る休日でね…。1日中、独りでコレ読んでてもうなんか、もうなんか胸が張り裂けんばかりのですね…。悲惨、だったね。最後の冬のあの描写は。あの辺のヒステリーとか暴徒とか、その辺は完全に私の妄想です。最後の住民たちの遺体は考古学調査では発見されなかった。おそらくは後日訪れた司祭が、散乱していた遺体を葬ったのでしょう。だから、実際の最期の姿はもはや、押し測るほかないのです。

そんな悲しい史実が様々に集積された本です。そして現代に直結する本です。すっっっっごい分厚いのが2冊ですけど、興味深い。興味深いんですよねぇ…。

そして、課題が山積してる。うむ。
いつかこの目でその阿鼻叫喚の地獄絵図を見ずに済むように。丁寧に生きる。難しかろうと、おそらくはそれしかないのでしょーねぇ…。

本当に、おしまいおしまい。
いやぁ、同じ作者の『銃・病原菌・鉄』と合わせて、すごい本だったぜ…。
あの時、本屋で手にとって良かった。読めて良かったですわよ、本当に。

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ノルウェー領グリーンランドの物語⑦

⑦最期


なんかもう、私の文体もどんどん重くなってくわけなんだが…。
なんかもう、あのチャラチャラした文章じゃ色々おっつかない差し迫り具合で…。

東西ふたつのノルウェー領グリーンランド入植地。先に歴史の闇の中に消えたのは、より厳しい環境下にあった北に位置する小規模な西入植地であり、しかし東入植地もほどなく同じ運命を辿る。

本国ノルウェーの人々がその存在を黒死病の大流行や、またはスウェーデンとデンマークと同じ王のもとに統合されるという、目下の動乱の中にある中で、遠く北の同胞の存在を忘れていたその隙に。そして今一度思い出したその時、彼らはもはやそこにはいなかった。1人残らず。グリーンランド――〝緑の島〟、その白と黒の悲しい大地に呑まれて。




西入植地はおそらく、1300年頃にその命運が尽きる。その終焉については、1350年頃にグリーンランドの教会の状況を調査するために当地に赴いたバルダルソン司祭の手による、1362年頃の文献資料によるもの。そして後の考古学者たちの発掘資料によるもの。それらを統合して『文明崩壊』著者ダイアモンド氏が描き切った、西入植地の最期。もう、絶句するほかない。その、惨状に。

トコロデ。かつてノルウェー人たちがアメリカ大陸に到達して入植しようとしたけど、ネイティブアメリカンたちと衝突したために(例によって殺しちゃったパターン…)、撤退したという事例がありました。この時の彼らは周到な計画のもとに引き上げたので、跡地には折れた釘が99本と折れてない釘が1本、それと編み針1本以外に価値のあるものは何も残っていないという徹底っぷり。木造建築やら家具やらは、貴重な木材のために解体してぜーんぶ持っていく。

けれど、西入植地には残っていたのです。釘やら針やらはおろか、大きな木製品も、その建物も。つまりそれは、準備が出来ない状態で遺棄されたのか…最後のひとりまでそこで死に絶えたか。この辺から私の想像も大幅に詰め込まれてきますが、もう、後者なのでしょうね。だってね、彼らには他に行くべき場所なんか無かった。頼るべき人なんて無かった。北の大地で氷に閉ざされて、凍えていた。

木材が大量に残された遺跡で発掘された、動物の骨。小鳥やウサギの骨が出土したことは、通常では狩りの対象にならない小動物を狩らねばならないほどに食糧事情がひっ迫していたことを意味する。そして納屋の牛房と同じ数だけの大量のウシの骨は、残っているのは爪先くらいなもので、蹄まで食べつくされたことを意味する。生後間もないウシやヒツジの骨が物語るのは、育てるべき家畜の新生児まで殺したということ。そして食べる風習の無かった猟犬の骨までもが、ナイフの傷跡の残る状態で同じ場所から出土している。

飼育していたすべての家畜を殺し蹄まで貪り食べた。秋のトナカイ狩りに必要な猟犬までをもおそらくは口にした。小鳥やウサギなど、普段は見向きもしない小動物も食べ尽くした。そして最後の最後まで、近くの川に群生する魚を食べることは無かった。

氷雪いまだ厳しい春の初めだったのだろう。家畜をひと冬養うだけの飼い葉なんておそらく初めから無かった、そんな冬の終りだったのだろう。そしてきっと、そこには争いがあっただろう。集団ヒステリーに陥らない方が、無理がある状況ではなかったのか。最後1頭のウシを殺した時、人々は殆ど狂気じみた状況にあったんだろう。飢えた入植地の住民たちは、ひとつひとつ、それぞれの農場の物資を食べ尽くしていった。来年のことを考えれば、普通はできない暴挙を彼らは犯した。

そう。来年なんて、無かったのだ。彼らはこの時に全てを清算することを選んだ。一部の人間が生き延びて入植地を繋ぐことよりも、全員で一気に果てる道を選択して暴徒と化した。そして最後に司教や権力者が囲う裕福な農場に押し寄せて、全てを殺して回った。最初は家畜を、最後にはおそらく…(これは完全に私の憶測だけど、でも)お互いを。

『文明崩壊』の中で取り上げられる多くの事例のその末期の姿の中で、このグリーンランドの終焉が何よりも胸を揺さぶるのは、それがひと冬で一気に瓦解したということ。他の文明が徐々に衰退し、ゆっくりと去っていったのに比べて、その物語の凄惨さが際立つから。

グリーンランドでは、去る場所なんて無いままに、1000人か、4000人かいた人々が突発的に誰もいなくなってしまった。東入植地の最後については、西ほど詳しい資料がないのが実情。けれどグリーンランド最後の司教が1378年頃には死に、以降新たに司教が送り込まれることは無かった。あれほどまでに縋っていたキリスト教会との関係が断絶された。1400年以降、彼らもまた西と同じような運命を辿ったのだろう。ひと冬での、全滅劇。




…それでも私は思うのです。よくもまぁ、300年400年、この入植地を維持したと。最初の30年、40年で行き詰って撤退していたとしても(その方が幸福だったのかもしれないにせよ)、何ひとつ不思議ではない。ダイアモンド氏は、アメリカ合衆国の歴史よりも長いことを例に挙げております。

そして北の大地の覇者、イヌイットが生き延びた。ここが人の住める土地であることを実証して。これが、ノルウェー領グリーンランドの、物語。

深い悲しみと、果てしない示唆だけを残して。

おしまい。

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ノルウェー領グリーンランドの物語⑥

⑥崩壊の足音


ノルウェー人たちが、赤毛のエイリークに率いられてグリーンランドにやってきた当初、彼らは幸運に恵まれていたんだよね~。かつて1度も伐採や放牧に使用されたことの無い手つかずの大地。気候も比較的穏やかで温暖で、酪農のために必要不可欠な飼い葉の生産は滞りなかった。本国ノルウェーへの水路が氷結するってこともなく、セイウチの牙ってゆう高価な交易品もあったの。そして未だイヌイットはグリーンランドに到達してなかった。

だけど、いつだって変わっていってしまう。立ち止まってはいられない。幸せな時も、不幸せな時も。彼らの先祖であるヴァイキングが船を降りて、まっとうな国家を築きだしたように。

当事者であった入植民たちにどうしようもなかったことは3点。
気候が寒冷化していったこと、ヨーロッパでの象牙の交易の増加(地中海域をイスラム勢力から奪還したため)によってセイウチの牙の需要が落ち込んだこと、そしてイヌイットがやってきたこと。

そして彼ら自身が招いたこと…っつーか、あの、この『文明崩壊』という本を読んでいて痛切に思い知るのはですね、やっぱ環境破壊がその崩壊にどストレートに関わってくるんだなってゆぅことなのよねぇ…。

文明がいかに樹木に依存してきたか。そして牧草地を作るために、建材や薪にするためにその木を切り倒してきたか。それでも木がまた生えてくりゃいいんだけどさ、いかんせんここはグリーンランド(同書内で取り上げられているイースター島の事例でも、島内の木が全滅しましたが…)。寒いんで木の生育は遅いし、そもそも元の植生地を牧草地にしちゃったから生えようがないっつーか…。やがて薪不足の際には動物の骨や糞、芝などが代替品として使われだすわけなんだけど、糞をこっちにまわすことは飼い葉の肥料が無くなるってことで、芝燃やすったら牧草地そのものを燃やしてるみたいなもんなわけで…。そーか、これが本末転倒ってやつか…!

加えて本国ノルウェーやキリスト教会との関係性が、彼らに非合理的な行動をとらせる。自分たちはイヌイットやドーセットなどの“蛮族”とは違う、“崇高な”キリスト教徒たらんとすること。彼らは入植地にでっかい教会を建設して、本国育ちの司教を呼び寄せちゃったりもします。教会に必要不可欠な鐘やらステンドグラスやらの贅沢品の類は、年に数回、下手したら数年に1回くらいしかやって来ないノルウェー本国からの交易船で運び込まれた。

替わりにこの交易船がグリーンランドから輸出品として持ち出したのは、入植者たちが更にはるか北の狩り場まで命がけで赴いて仕留めてきた、前出のセイウチの牙だったりホッキョクグマさんの毛皮でしたり。本国では絶対に取れないステイタスシンボルな高級品系よね~。イッカクの牙ですとか。ホッキョクグマは稀に生け捕りにして、そのまんま輸出したっつーんだから、ええぇぇ…!!?

ホッキョクグマ
↑シロクマさん


↑イッカクさん

しかもこれ、飼い葉の収穫とかがピークの夏の時期に、貴重な人手(しかも屈強な成人男性)と船を全て費やすという不経済性なのさ! で、それと引き換えに手にしてるのは教会が必要とする贅沢品のみってんだからアナタ! 教会維持のために支払った犠牲ったらないわけだけど、それでも彼らにはキリスト教が必要だったんだろうなぁ…。状況が過酷であればある程に。

けれど。やがてグリーンランドを訪れる船舶の数はぐんぐん減っていきます。気候の寒冷化に伴い航路が荒れ氷結することも増え、またヨーロッパ本土で黒死病(ペスト)が猛威を奮ってそれどころじゃなくなっちゃったり…。そして植民地建設から200年300年が経ち、本国の様子を知る者など後からやってきた司教しかいない中で、一体住民たちは何を見ていたのだろうなぁ…。東植民地の人口は4000人、西では1000人ほど。それだけのコミュニティ。暗く長い冬、わずかな夏も過酷な環境。いつ底をつくか分からない食糧。

…なんか、みんな鬱になってても驚かないな…。総民鬱。精神衛生上、マトモなわけがないと思うな…。それともその世界しか知らなければ、人は生きていけるものなんだろーか…(でも実際、ノルウェー人同士の諍いも絶えなかった模様なので…。殺人とか、頻繁だったっぽいので…)。現代日本に生きる身としては計りしれん、計りしれんよ。でもいつか、押し測れる日が来ないとも限らない、そんな気がするのだよなぁ…。

そしてついに訪れる。運命の冬が。

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ノルウェー領グリーンランドの物語⑤

⑤ドーセットとイヌイット、北の住民たち


ヴァイキングの皆さんがわーって入植してきたこのグリーンランド。ところで…先住民などはいなかったのか? この回答については「ほぼいなかった」、これが正解みたい。

つまり、ちょっとだけいたようなのです。先に住んでた人たち、それがドーセット(カナダのドーセット岬で遺跡が発見されたことに由来する名前)の人々。

《ドーセット年表》
紀元前800年頃 カナダ方面から、グリーンランド初上陸!
           グリーンランド全域を制覇!
紀元後300年頃 何かよく分かんないけど、グリーンランド撤退!
            もっかいカナダに戻る!
700年頃 グリーンランド再上陸! でも、前ほど全域じゃないよ!
1300年頃 …流入してきたイヌイットと同化???

ノルウェーのヴァイキングたちが入植した東西の土地には、おそらくはドーセットが最初の進出の際に遺したと思しき遺跡等があったそうな。二者がグリーンランドで共存していた期間はだいたい300年。居住区が明白にかぶってたわけではないけど、それぞれに狩猟し移動していた人々。人口も少ないけど、どこかしらで接触があってもおかしくは無いけれど…。おそらく、接点というものは無かった模様。キリスト教徒である入植者たちが、“邪教の民”ドーセットを無視してた、という見方がよさそう。ドーセットも本当に小さな集落とかで暮らしてた、か弱い民族だったんだよねー。

それで、そう、イヌイットなの。極北の民と言えば、当然のようにその名が挙がるのがイヌイット。彼らこそが北極圏の歴史の主役、北極が人間の住める大地だとその身をもって証明してみせた人々。けれど、実は遅れてやってきた人々。

《イヌイット年表》
1000年以前 ベーリング海峡周辺地域でその文化を発達させる!
1200年以前 気候が暖かくなってきて、氷が解けてカナダ踏破!
         東に向かいグリーンランド北西部に到達!!
1300年頃 北に位置する西入植地付近に到達!
        この頃、ドーセットを吸収合併???
1400年頃 南に位置する東入植地付近に到達!

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…どんどん来ちゃうんだよね、これがまたね。彼らの強みはもう本当に際限ないわけなんだけど。グリーンランドのノルウェー人たちが、樹木の生育に適していないこの土地にあってもヨーロッパ式に、木材で家を建て、木材で船を作り、木材で暖をとったのに対して、イヌイットは雪でイグルーを建て、骨組みにアザラシの皮を張って船を作り、クジラやアザラシの油を燃やし暖をとった。北極圏でどっちが効率いいかっつったらば、そりゃあもう、ね!!



↑イグルー、コレ!! かまくらかまくら!

てゆーか! イヌイットたちの北極圏での暮らしっぷりを読んでるとね! もうね、感嘆以外の何もない!! 土地に生きるってこうゆうことなんだって思うですよ! けれど恐ろしいのは、そんな彼らでさえグリーンランドという土地では常に全滅の危機と隣合わせだったということ。冷夏や厳冬に見舞われれば最後、何十人という規模の集落が消え去ることもあったそうな…。

そんな北の大地が生んだ氷原の申し子みたいなイヌイットと、既に先にグリーンランドに入植していた典型的ヨーロッパ人・ノルウェー出身ヴァイキングたち。…合わないんだこれがまた。そりゃー、相容れないっすよ! ノルウェー人たちにしてみれば、キリスト教徒じゃないってだけで完全にアウトだからね! おまけに自分たちが先に住みついてた場所の近くで、自分たちよりホイホイ効率よく狩りや漁をしちゃってるんだから、そりゃあ面白くないよね! いかにイヌイットの生活が理にかなっていようとも、ノルウェー人たちには彼らと交易をしたりその技術を学んだり…そんなことは出来るはずもなかったのだよなぁ……。

なおかつ! なんか…狩りの途中で遭遇したイヌイットの人をノルウェーの人は……大した意味もなく殺しちゃう! アホか!! いや、これももう…仕方ないんだけどね。そーゆう価値観でしか生きてきてないわけだから。かつてアメリカ大陸に到達した際も、いきなりインディアンの人たちを殺しちゃったりしてるしね…。そもそも赤毛のエイリークの系譜+キリスト教的価値観=…みたいな。この事件をもって、ノルウェー人とイヌイットの関係が決定づけられる。

1379年のアイスランドの年譜によれば、「グリーンランド人を襲ったスクレーリング(イヌイットへの蔑称)が18名を殺害。少年2人と女1人を捕えて奴隷とした」――衝突は、これ1度きりということは無かっただろう。学ぶべき相手を敵に回したことで、ノルウェー人入植者たちは更なる難題を抱え込んだ。

やがて、入植当初は比較的温暖だった気候が、後に“小氷河期”と呼ばれる寒冷な気候へと移行していく。入植地崩壊の足音が、ひたひたと迫る。

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ノルウェー領グリーンランドの物語④

《前回までのあらすじ》
ヴァイキング全盛時代を経て、ノルウェーやアイスランドから北の最果てグリーンランドの東西2箇所の植民地にみんなで入植したよー。ちょうど西暦1000年頃だよーヽ(´▽`)/

グリーンランド(デンマーク自治領) 壁紙 - Greenland, a self-governed Danish territory WALLPAPER

④グリーンランド入植地の暮らし


さぁ、じゃあこの未開の土地を耕して暮らそうよo(*^▽^*)o って、話はそうなるわけです。

彼らはヴァイキングだったわけですので、船で大洋を駆け巡っていた人々。もちろん、この遠く北の大地にもその船でやってきた。でも、元をただせばノルウェー本国で耕作地の不足から国外へと押し出された人たちな訳で、要は農民の末裔。で、開拓っつったら農業と牧畜ですわよね! 必要に迫られて船に乗り襲撃を仕掛けていたような人たちが、いわゆるマトモな生き方を再建しようってゆうんですから! それはちょっと人間変わるもんだなって!!

今のアメリカっちゅー国もオーストラリアっちゅーところも、今となっては先住民は少数派で大多数が移民の元ヨーロッパ人。日本人も多くの人が南米に移民として渡った時代もあったものです。そうゆう移民らが故郷を離れ新天地に乗り込む際、それでもやっぱり故郷の風習や慣例を持ち込むものです。遠い異国ってやっぱり心細いじゃない。そうなると心のよりどころが必要じゃない。まーまーやっぱそうなるわよねぇ、海外行ったら醤油が恋しくなるわよね。帰国して成田で食べた和食が超おいしかったわよね…。

だからやっぱり、ライフスタイルはノルウェー本国を踏襲! スカンディナヴィアでも、1000年頃になると一気にキリスト教への改宗が進み、グリーンランドの人々もキリスト教徒になります。これにはいわゆる〝異教徒〟のままだと本国との関係性が悪化するっちゅー、非常に現実的な理由もあるわけなんだけども。それによって本国との精神的な結びつきは強くなるし、植民地内の結束も高まるわけだけど。だからキリスト教徒ってゆう精神性だけならよろしいんだけど、ホラ、宗教ってやっぱ色々難しいんだね…ってゆう。この問題が更に浮き彫りになってくるのは、これからだいぶ後……。

そんでもって、だから醤油…じゃなくて、食生活もさ! やっぱ食べたいじゃない、今までと同じものを。牧畜をやるにしても、ノルウェー社会ではウシとブタが重宝され、以下ヒツジとヤギ。適宜、ウマとアヒルとガチョウ。これが基本的な家畜の数の比率。グリーンランドでもこれを維持しようとします。でもさー。

でもさ、寒いんだよ、グリーンランド。すごい当たり前なんだけど、寒い。で、そんなところでこれらの動物飼うってとっても大変。ブタはたちまちその数を減らします。ただ、これは寒さの為とゆうよりも、凍りつき痩せた土壌を更に荒らす害をなしたため。最終的に殆ど飼育されなくなったようです。ウシも数を減らした動物だったけど、これはホントに寒さのせい。替わって数を増やしたのは寒冷な気候に強かったヤギとヒツジさんたち。うーん、この辺からすでに色々と思惑は狂いだしてるのよねー…。

でもブタが消えた一方で、ステイタスシンボルでもあったウシの飼育は執念で続行されます。本当にねぇ、この土地でウシを育てるって大変なようで。盛夏の3ヶ月くらいは放牧が出来るけど、裏を返せばそれ以外の9ヶ月は牛舎に押し込めて飼い葉を与え続けなきゃなんない。この飼い葉だって、その短い夏の間にせっせこ育てなきゃなんないわけで。うっわー…、気が遠くなる……。てか、その飼い葉が不足した際には海藻を飼料としてウシに与えてたってゆうんだから、そりゃあもう無茶なハナシ…。海藻なんかよく食べたな、ウシ…。

そんなこんな、本国では畜産と農業で食べれてたけど、グリーンランドではそれだけでは人々の食生活のすべてを賄えない。必然、狩りに出かけます。狩り! 獲物は野生のシンリントナカイ(カリブー/トナカイの一種)とかアザラシちゃんとかとか。トナカイの方は猟犬を使って、長く過酷な冬の前の秋に捕まえてたみたい。ひと冬の食糧。

File:Caribou.jpg
↑獲物さん。

一方のアザラシは、その冬が明けて食べ物の貯蓄があらかた無くなっちゃった春の終わり(と言っても、ここではガンガンに雪が残っている5月)くらいに決行される。相手はアザラシなので、普段は農場にいる住民たちが海へと繰り出して行きます。

トコロデ…。この入植者たち、魚を食べなかったみたいです。アザラシ狩りに行ったついでに魚だって釣れたでしょうに。その方が簡単でしょうに。そもそも農地の近所の川や湖にも、魚はわんさかおりました。そして彼らの縁戚のノルウェー本土やアイスランドの人々は、今も昔も魚を熱心に食べる系譜です。研究者たちにとっても長年の謎になっているこの事実を、『文明崩壊』の作者ダイアモンド氏は、“食べ物の禁忌”(例えば、タコを好んで食べるのなんて日本人くらいなものです。そんな要領で…)で説明しようとしています。が、これもまた一説をでないのであろう…。

本当に、これだけでもよく暮らしてたなって感心してしまう。今より温暖な気候だったとはいえ、グリーンランドだよグリーンランド! 今から1000年前の北の大地の人々。すごい、すごいね、尊敬します。けれど、彼らの歴史はまだ続きます。苦難の横たわる茨の道として。

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ノルウェー領グリーンランドの物語③

③赤毛のエイリークとノルウェー人入植


さてさて。

それはそれは昔のお話…。
980年頃、ノルウェーの地に、“赤毛のエイリーク”という通り名でよばれたヴァイキングの男がおりました。彼はとても荒々しい性格の持ち主でしたが、同時に魅力的な人物でもありました(※私推測)。

ある時、エイリークは殺人を犯してしまいました。そのために彼はアイスランドへと逃亡します。けれど、辿り着いたアイスランドでもすぐに何人かの人間を殺め(おい)、アイスランドの中でも更に追いやられて行きます。ところが彼はその先でも争いを起こし、人を殺してしまうのです(おいおい)。エイリークは、982年頃から丸3年間、アイスランド国外へと追放されてしまいます。

ここでエイリークはある事を思い出します。実は、何十年も前にウールヴスソン・グンビョルンという男が、ノルウェーからアイスランドに向かう航海の途中で思わぬ風に流され、不毛の小島を見つけたということがありました。エイリークは、その島への冒険を思い立ちます。こうゆうところ、この人やっぱりタダ者じゃないなぁと思いますねー。

その不毛の小島とはグリーンランドの沖合に浮かぶ島々で、エイリークはその3年間をグリーンランドの海岸の探索にかけます。そして深いフィヨルドの内側に、見事な牧草地も発見するのです。だからこの人、こーゆぅところスゴイよね。

そして3年の後、アイスランドに戻ったエイリークですが、彼はそこで別の戦いを起こし敗北を喫してしまいます(おいおいおい…)。それはつまり、アイスランドにおいての彼の地位の消滅でした。エイリークは、25隻の船団を率いて、グリーンランドへの入植に踏み切ります……。

…てゆーか、25隻分の人々がこの粗暴なエイリークにくっついて、まだ見ぬ土地に移住しようってゆうんだから、やっぱりこの人カリスマ性みたいなものがあったんでしょーね。だって、もともとアイスランドの人じゃないんだよ!? 殺人で追放されて島にやって来た人間が、島の中でけっこうな権力を築いて敗れたとはいえ戦いまくってたわけでしょ!? そんでもってアイスランドを去る際には25隻の船団を引き連れて去ってくんだよ!? 何この人凄い。でもまぁ、カリスマっちゅーのは、そうゆう人に宿りよりますよね…極論ヒトラー的な。

そんで、才覚も備わってた。すぐ人殺しちゃうけど。エイリークはその土地を“グリーンランド”と命名、更にその土地では立派な屋敷や土地が無償で手に入るという噂がアイスランドで流れ、それは10年の内に追加で3度の植民団の出航をも促す。そんな都合のいい話、無いのにね☆

まぁ、結果として1000年頃までには東西2カ所の植民地にある牧草地向けの土地はほぼ占有され、北にある西入植地に1000人、南にある東入植地には4000人もの人々が入植した。

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位置関係は、こんなカンジです。てゆーか、まぁそりゃあ多少西と東だけどさ、南北じゃんコレってゆう…。正式呼称がコレなんでコレでいきますけどー。しかも、アイスランドと反対側の岸なのよね。そして実はアイスランドの方が高緯度(北緯65度前後)なのね。私、これ調べ出して世界地図をあらためてまじまじと眺めましたらば、アイスランドの北っぷりに愕然としちゃいましたわ!! 超北! 何コレ!? まぁ、海流の影響でアイスランドの方が温暖な気候ではあるそうです。それに加えて、ノルウェー人植民者たちは年に1度は狩猟の旅に出かけ、北極圏の奥地へと歩を進めた。それは遥か遠く、最大で北緯79度(北極まで1,000㎞)に至るものだった……。

…よーし! とりあえずみんなでグリーンランドに住み出したよーってとこまでは話が進んだね! わーい、つづくー!!

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ノルウェー領グリーンランドの物語②

②ヴァイキング


そもそも何でこんな辺鄙なところに棲みつこうなんて思ったのか…。話はヴァイキングっつーのの登場まで遡らねばなりません。

ヴァイキング。彼らがその姿を突如現したのは、西暦793年6月8日。イングランドの沖合に浮かぶリンディスファーン島の裕福な修道院への襲撃がその第一幕。

このヴァイキングの人たち、何処から来たのかというと、定住地はもともとスカンディナヴィア半島。その中でも現在のノルウェーらた辺。まぁ、北よね。ヨーロッパの古代文明と言ったらばギリシャ、そして続く強大なるローマ。古来、中心地は地中海にありました。だから、ローマの息吹は彼の地までは及ばない。それが中世に入ってキリスト教の普及と共に、重心を西にずらしてゆく。それが西ローマ帝国滅亡以降のヨーロッパの歴史。

そんな北の辺境。西暦600年頃になると歴史が動き出します。この時期は大きな気候変動の中の温暖期だったことに加え、農業技術の発達により食糧生産が伸長、人口が増大します。だけれども、そこらた辺の土地はその大半が険しい山岳地帯で、農業に適した土地ってゆうのは3%しかないんだそうな。たちまち人口は飽和状態に陥ります(まぁでも、今ウィキで調べましたらば諸説あるっぽいの…)。この「人口増大」からの「食糧危機」。これが全ての崩壊劇のシナリオなのよねー…。まぁ、それはスカンディナヴィアの大地ではひとまず起こらずに、この時は余剰人口が新天地へと旅立つことによってとりあえずの解決を見るのだけれど。

解決ったって、ねぇ! 分からないです、私になんかには到底分かりゃあしませんわよね、まったく! 自分の生まれた土地を離れ、あまつさえ遥か洋上の向こう側に新天地を求めねばならぬ状況とは。どこまでひっ迫すれば、どこまで希望があれば、人はその航海に出られるのだろうか。

それで、ヨーロッパ本土の各地に襲撃かけちゃうってのは、ある意味いちばん分かりやすいかもしれない。航海術を巧みに発達させた彼らには恐れるものは無かったし、各地には手つかずの裕福な街が存在してさ。だもんで、前述の修道院襲撃事件を皮切りに、彼らは瞬く間にヨーロッパ各地へと攻め入ります。

そんでみんなの味方、ウィキから拝借してきました↓

ファイル:Territories and Voyages of the Vikings blank.png

緑…ヴァイキング居住地(植民地)
青…航路
数字…到達年

今では有名な話ですが、彼らはコロンブス以前にアメリカ大陸に到達したヨーロッパ人。1000年て、キリ良くてええな~。ただし、遠くアメリカ大陸に大挙して乗り込むような力は流石に無かったため、数で勝るアメリカ原住民に敗北して早々に撤退。

しかし時代は移り変わって、まあいつの世だってだんだん世知辛くなっちゃうの。やや、襲撃されてる方にすればたまったもんじゃないから、そりゃあ自衛しますわよね。いつまでも襲撃なんて続かない。無法者たちが法を作る事もあるし、そしてヴァイキングの本拠地であったスカンディナヴィアに強力な王権が誕生して、彼らを制した為でもある。

9世紀末、ハーラル1世がノルウェー沿岸部統一、スカンディナヴィア最初の統一王国が成立します。ちなみにヴァイキングさんらは現在のスカンディナヴィア各地が発祥ですが(でもそれもすごいな…。あんなでかい半島の民らが四方八方それぞれに一気に襲撃に出たとか…、連鎖反応??)、この後の本題のグリーンランドがノルウェー領の為、ノルウェーの話が中心になるです。

1066年。10月14日にノルマンディー公ウィリアム(征服王)が、古来よりのイングランド王ハロルドに勝利し現在のイギリスに続く王国を打ち立てたこの年。実は9月25日にハロルドはヴァイキングの侵略軍を撃破し、疲弊し切った状況だった。ハロルドに敗北を喫したことにより、ヴァイキングたちは多大な危険を冒して遠方の土地に襲撃をかけるだけの見返りを求められないことが決定的となり、これをもってヴァイキングの襲撃は終焉を迎える。しかしながら、そのハロルドを破ったウィリアムが率いていた兵は、かつてスカンディナヴィアからフランスへと植民した人々の末裔であった……。

という! 長い長い前置きを経てついに! 本題のグリーンランドになるんですが…。これを書き出してる現時点で、一体どうなることやらな状況です\(^o^)/ まあ、別に需要がない記事なのでのんびりいきましょう! どうなるグリーンランド! どうなるワタシ!!

つづく☆

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ノルウェー領グリーンランドの物語①

①序章


ジャレド・ダイアモンド氏の、『文明崩壊』という本を読んでいます。
……途中です。

同氏の、『銃・病原菌・鉄』という本も読んでいます。
……途中です。

………。

先にね、『銃・病原菌・鉄』を読んでてね、すっごい面白くて! 「うおーうおー!」って思いながら読んでて。でも分厚い上下巻とかだからなかなか最後まで到達できなくて。で、その途中にふらっと本屋行ったら『文明崩壊』が新たに積んであって。「うおー! 面白くないわけないじゃーん!」と思ってとりあえず買ってきちゃって、そんでぺらぺらやり出したら止まんなくなっちゃって!!

…今に、至ります。両方中途半端ー\(^o^)/

で、だから途中なんですけど。『文明崩壊』。世界史上様々な〝崩壊した文化〟にスポットを当てて、その要因を暴きだすことで現代社会が抱えている様々な問題を炙り出し、そしてその解決策を導き出そうとする試みの1冊です。めっちゃくちゃ興味深いです、コレ。

イースター島の有名なモアイ像を建造した文明や、マヤ文明、ネイティブアメリカンのアナサジ文明(『X-ファイル』で「アナサジ」ってエピソードあったなぁ…。もう誰も知らなそうだなぁ…)など、世界各地の滅び去った文明が、実例として取り上げられています。それにしても題材も切り口も多岐にわたる内容を、非常に読み易く分かり易く書きあげてありましてもう感無量です。訳もすごく読み易いです。

ひとつの文明が滅びる。結果、イースター島は島民が最盛期の1割に落ち込み、マヤのピラミッドは密林に打ち棄てられ、アナサジ遺跡は棲む人もなく荒野にただ取り残された。それは何にせよ、非常に痛ましい歴史であり、そんな多種多様な崩壊劇の中でも最も私の胸を打った悲劇的な〝文明崩壊〟。それこそが10世紀末に“赤毛のエイリーク”によって名付けられ開拓され、西暦1,000年頃には成立したとみられるノルウェー領グリーンランドの填末。

なんて言いますか、これは読んでいてもう本当に、「うわー…」ってゆうか…。そもそもグリーンランドってどこかってゆうと、ココですね、ココ↓

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緑のとこ。なんてったってグリーンランド。緑の国。でもそんなの大ウソな訳さー。ダイアモンド氏曰く、「色で表すなら黒と白」。一説にはエイリークが到達した10世紀末は今よりも気候が温暖だったので(これは確か)、実際沿岸部は割と緑が多かったんじゃなかろうか、とか。まぁでも、グリーンランド以前にノルウェーの植民地として開拓されたアイスランドが、〝アイスランド〟って名前の為に入植希望者が少なかったんで、名前で騙したんじゃなかろうか、とかとか。ちなみに、アイスランドの歴史についても作中では取り上げられています。こちらも苦難の連続だったようですが、それでも現在ひとつの国家として生き残っていますので。

ノルウェー領グリーンランド。それは、〝そして誰もいなくなった〟悲しい物語。

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伊藤計劃『虐殺器官』

今年の春に初めて『ハーモニー』という作品で知った作家さんです。

『ハーモニー』がとてもとても好きで、オリジナル長編としてはもう1作、この『虐殺器官』があったので、読もう読もうと思ってて、やっとでした。かかったねー…。読み始めてからは2日とかで読んじゃったわけだけど。

読んで初めて知ったんですが、『ハーモニー』とすごくリンクした話でした。てか、書かれたのはこっちのが早くて(『虐殺器官』は作家としてのデビュー作品にもなるのでね)、物語の時系列的にもこっちのが早い。確かに『ハーモニー』に「人がみな虐殺の為の器官を持っているかのような…」というセリフがあったので、「あれ?」とは思っていたのですが。

何で手に取るのが遅くなったかというと、何かもっとハードな、SFというよりかアクションサスペンス寄りかと思ってたものでして…。カバー裏のあらすじだけ読んで、しかも日本人が描くアメリカ陰謀ものとかどうかな的なね、逡巡もございましてねー…。フタを開けたら近未来のSFアクション大作でございました。すごいなぁ、これ。

『虐殺器官』と『ハーモニー』、共通して根底に根を張るのは、〝進化(環境への適応)の過程において備わった、今となっては空恐ろしい性質〟。この発想がねぇ、本当にねぇ、ゾッとするのよね…。それは『虐殺器官』においては誰もがそんなものが人間に組み込まれているなどと思いもしないものとして、そして『ハーモニー』においては在って当たり前だと思っていた性質が異常なものとして立ちはだかる。どちらにせよ、怖い。そしてどちらにおいても、主人公たちに突き付けられる選択は究極であり。そして辿り着くそれぞれの物語の結末は、とても対局なのだけれど。破壊と、完成と。

…大森望氏の手による解説によると、この『虐殺器官』の初稿(約300ページ)はたった10日で書き上げられたそうです。ゾッとするなぁ…完全に物語に憑かれてたんだろうあなぁ、まともな神経じゃそんなことできない気がする…あくまでも私の想像だけれども。そして病や老いが根絶された異常なまでの健康志向の世界を描いた『ユートピア』を、ご本人は癌との闘病生活の中、病床で書き切った。あの、痛みの無い世界で痛みを渇望した少女たちの物語を。

まぁ、作家の背景を考えながら物語を読むべきかどうかってハナシですけど、うん…、そこを抜きに完全に面白い、且つ空恐ろしいSFでした。色んなものを掻きたててもらいました。伊藤計劃氏が遺したオリジナル長編はこれ2作のみ。読み切ってしまったなぁ、素晴らしかったです。

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レイ・ブラッドベリ『華氏四五一度』

…例によって、手元に本が無い…。実家…。

でも書く…。だって、今朝方訃報が届いたから……( ´;ω;`)

年齢的には随分とお歳だったので、もはや生ける伝説みたくなってましたが。生前から既に〝SFの巨匠〟だったわけで。この『華氏四五一度』も、もはや古典の域に達していますし。

でもブラッドベリ氏を単純に〝SF〟で括ってしまうのはしっくりこないのは私だけじゃないと思うんですけど、どうなんでしょうか。『華氏四五一度』は思想統制の世界を描いたディストピアもので、同じく代表作としてあげられる『火星年代記』はタイトル通り人類の火星入植と火星人との数奇な運命の物語です。でも、それはすごく幻想的。難しいシステムや化学の理論の代わりに、そこにあるのは悲しみを抱えた人間の心(『火星年代記』では火星人の心、とも言わねばいけないのだろうな…)。

私とレイ・ブラッドベリの出会いの1冊が『華氏四五一度』だったのですよ、もう10年近く前なのかしら。よく分からないわー。でも、その読了時の衝撃は覚えております。〝本を読む〟という行為が弾圧される世界、けれど人々は垂れ流される映像メディアに満足してその思想統制に対して疑念を抱くことは無い。主人公もまた焚書を職務として働いていたが…。

聖職者の如き本の虫たちが静かに活躍するその物語に。物語のラストはSF小説では頻出する展開だけど、やっぱりそうでなきゃいけないんだよなぁ。それまでも兄が読んでたSF小説をかじったりしていたんですが、「ああ、私はこの作家さんが好きなんだ」と自覚し、『火星年代記』『何かが道をやってくる』から短編まで色々手を伸ばしました。「好きなSF作家は?」の自分設問には常に「レイ・ブラッドベリ」という答がありました、そしてこれから先も。

昨日『半神』について触れたのでちょっとした運命を勝手に感じていますが、萩尾望都さんが漫画化もしていらっしゃいますね。『ウは宇宙船のウ』とか、『霧笛』とか(原作は読みましたが漫画は未読、うむお勉強…)。あの時代の少女漫画のSFはブラッドベリの影響が色濃いと思うのですが、どーでしょお。萩尾さんのオリジナル作『金曜日の夜の集会』はまるでブラッドベリ原作かと思ってしまうような幼い哀愁に満ちたSFファンタジーです。恩田陸さんの小説『三月は深き紅の淵を』の第四部「回転木馬」の中でも取り上げられていて、そういうところでその名前に出会うと「おお(゚▽゚*)!!」ってなりますね!

――ここまで書いたところで、初めて読んだブラッドベリ作品は『初めの終わり』(翻訳によっては『初期の終わり』等々)だったんじゃないかと思い出してあたふたしましたが、もういいよね…? とにかくブラッドベリが好きなんだよね、そういう文章なんだよね!

ご冥福をお祈りします。貴方が生きた21世紀は、貴方の描いた未来と比べてどうでしたか? 最後にそれを、訊きたかった。

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