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徒然漫画語り・其の百四―沙村広明『春風のスネグラチカ』

1933年、ロシア。
自らの意思で動かすことの叶わない車椅子に押し込められた美貌の令嬢ビエールカと、その特異にして華麗な車椅子を献身的に押し続ける隻眼の従者シシェノーク。彼らは多大な犠牲を払いつつ、湖畔の屋敷へと棲みつく。未だ革命前夜の時代に隠されたであろう或る証を探すために――。


あー…やっぱ漫画っていいな! 大好き!! って思いました!
私が購入した版には沙村さんのインタビュー記事(初出『マンガ・エロティクス・エフ vol.81』)を紹介する小冊子が挟まっていたのですが、これもすごーく興味深かったです。そこでご自身で語られてもいることにつながるのですが、沙村さんの描く少女には独特の痛々しさが合って素敵。そして、移り変わる季節の空気感。僅かな夏の青い空と、長く過酷な冬の色の無い空。カバーのイラストはその象徴。地にアクリルで古ぼけた白を下塗りした上に水彩で着色してるこういう感じを見せつけられちゃうの、アナログ技法のカラーイラストの醍醐味だなぁって思います。

主役2人もだけど、ヴィクトルとバレンチナも好き。ヴィクトルとか悪役からの大逆転で(や、最初やってることアレなんだども、だからこそ)ずるいなぁって思いました! バレンチナちょー可愛い!!

他にも物語の各所を通り過ぎるように、でもしっかりと彩るキャラクター達(多くが実在の人物)がとっても魅力的。みんな、その眼ひとつで人柄を語ってくる。にしてもラスプーチンってすげぇなあって、さっき改めて調べ直して思いましたね! あらゆるフィクションで描かれた姿よりも何倍も実際の写真の方がヤバいって最高にイカレてるわ…。

そんでもって池田理代子さんの『オルフェウスの窓』を読み直したくなりました。ロシア編は、ただでさえ辛い物語の中でも果てしなく長く苦しい時代だったから、長らくマトモに読み返していないのよね…。

『春風のスネグラチカ』は舞台設定とキャラクターの負った宿命の過酷さに反して、とっても軽やかで読み易い…という私見(単に私が慣れているだけ説アリ…)。平成26年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作。“とある名家にまつわる、喪失と奪還の物語”って素敵なコピー。

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