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徒然漫画語り・其の八十二―売野機子『MAMA』

〝花の24年組の再来〟――。

この平成の世に、まさかオビのアオリにこのキャッチフレーズを見ることになるとは思いませんでしたよね…。「いやいやいや!」って思ってまんまと買って読んだら、それはもう。それはもう…!! それでいて、でもこれは間違いなく2013年が生んだ漫画なんだよなぁ…。


花の24年組とは。いわゆる昭和24年前後生まれ(ドンピシャ24年生まれだと思い込んでたら、今改めて調べてそうでもないことを知って驚愕…)の一部の女性漫画家に対する呼称。萩尾望都、竹宮惠子、大島弓子、山岸凉子などに代表される、当時の少女漫画の常識を覆す作画や題材を導入した作家陣を指す。

というわけで、何が大きいって、作画。竹宮惠子さんや萩尾望都さんの色が強いかなぁって作画をなされる。ただ、これ、どこまで故意的にやってるのか分からないんだけど。この『MAMA』を読んだ後に、それ以前の売野さんの作品の短編集を読んだのですけど、とってもイマドキでコケティッシュな印象が強いのよねー。うーん、線のタッチとか別に変えてるわけでもないのに、なんでこんなに『MAMA』には24年組往時の色が強いのだろお…などと考えたりもするわけですが。ただ。

単純に舞台設定が〝欧州のギムナジウム〟って、これはもはや! これはもはやー(≧∇≦)!!

叫び出したくなるほどに! 叫び出したくなるほどの! あの時代の香りがしちゃうんだ! 『風と木の詩』であり、『ポーの一族』であり…!! でもね、やっぱり意識してるとしか思えないコマがあって。コミックス第1巻73ページの1コマ目は、これはもう70年代の匂いしかしないわけですよ! だからもう、この作品はオマージュ込みで平成の世に新たにあの時の世界観を! 生み出そうとしてるんじゃあないのかなぁって!! …私は勝手に盛り上がってるんです……。

でも、そんな細かいどーでもいいことをあれやこれやと考えながら読む余裕があったのは1巻まででしたね…。現時点で2巻まで出ておりますが。この2巻。嗚呼、ああもう、さあ。ただただ圧倒される。

そもそも〝美しい声を持った少年が、その恩寵を本当に得た時に天使になり天に召される〟。その設定に、やっぱり読者は最初、なんというか不信感や不自然さを憶えるとおもうのです。2巻冒頭から登場するあの警部のように。現に私もそうじゃった。「天使になる」て? だから警部は投げかけるのだ、「天使候補の少年は殺しても分からない」と。あ、その線もあるんだとハッとする。ファンタジックな雰囲気を湛えていた物語は、一気に暗雲とミステリーの色が立ちこめるようにも見える。見えるんだけど……。

別に少女誌に掲載されてる作品じゃないから、少女漫画と読んでいいのか分からないけど。いいやでもこれは少女漫画でしょおー! これこそが少女漫画でしょおおぉぉー!!

…という。という展開の前に、2巻にして既に号泣……(´;ω;`)


『風と木の詩』であり、『ポーの一族』であり。それは確かにそうなのだけれど。これは何の粉いものでもない。売野機子、『MAMA』。

少年たちは、天使になる。

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